復活した旅行系ブログ
by mukuinu22

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夜明けの東京を行く
夕方から始まった飲み会だった。
店では1次会の続きで1年から4年までのメンバー十数人が時事問題やら4月からの事など、
この時期の大学生ならありきたりな話をしていた。

水道橋の居酒屋は3時で閉まってしまう。
もちろん深夜3時という微妙な時間帯で街に放り出されても行く所は限られていた。

時間的に始発までは1時間ちょっとあるし、もはや深夜というよりは早朝に近い。
渋谷や新宿ならまだしもここは千代田区なので、この時間では空いている店も少なくカラオケに行くには遅すぎる。
東京ドームの近くのファミレスにみんなで行ってもいいが、少し酔っている事だし
自分は始発まで少し歩いてみるのもいいかもなぁなんて思う。

なんとなく、後輩に歩いて帰ると言ってみると、そのノリのいい後輩は一緒に来てくれることになった。
そして、自分も後輩も家が同じ方向の神奈川なので「川崎まで歩こう」と提案してみた。
おそらく東京駅から東海道沿いを20キロくらい歩けば川崎に着くだろうが、もちろんこれはネタだった。
しかし、レスリングで関東5位以内くらいの成績だったという体育会系の後輩は、

「疲れるまで歩きましょう!横浜を目標!」

こいつの目は本物だ、。
…いつ疲れてくれるんだ?ううん、まぁ、水道橋から品川くらいで許してもらうか?


歩き始める事になると、何をするにも微妙な時間という事もあって家が六本木の後輩もついて来てくれた。
先輩である自分が軽く強制したのもあるが、もちろん酒も入っているしそうでもなけりゃこんな機会はないだろう。

とりあえず最初の目的地は後輩の一人の家のある六本木に決定。
水道橋駅の始発を待つ他のメンバーと別れ、深夜の千代田区を3人は歩き出した。

千代田区は皇居を中心にしてその周りに街が広がっている東京の中心地だ。
歩いている場所や出会う地名がそれぞれ目的地となりうる場所もある。
もちろん、深夜の靖国神社の中をコンビニで調達した食料を食べながら歩くのは初めてだ。

歩き始めた水道橋から百メートル行かないうちに神保町とぶつかり、
さらに5分も歩くと九段下の靖国神社に出会える。
白山通りも靖国通りも車は少なく、走る車もほとんどがタクシーだ。
普段は見られない大通りの道路工事の回転灯が夜を演出している。
もちろん、この時間帯は道路工事以外の人影はほとんどない。

大通りを歩き続け、麹町から半蔵門を越え、永田町を横目に見た。
国政の中心地とあって、この時間でも警察官が路上で警備をしている光景が見られる。
この時間帯に出歩いている人間は皆無に近いし、こんな場所を歩いている自分たちは、散歩とはいえ怪しいんじゃないんだろうか?
なんて思いながら首都高の下をだらだらと歩き、コンビニで立ち読みをしながら左手に紀尾井坂のニューオータニを見ながら赤坂見附の交差点を越えた。

この辺の場所的には赤坂なんだろうか。
中心地に入ると、恐らく居酒屋ではないタイプの飲食店が多く見られた。
「なんかデュエット曲であったよね?歌謡曲の何だっけ?」
みたいな感じで後輩に聞いて見るも、興味はなさそうだし当然昭和歌謡の事なんてを知る由もないようだ。
最近はご当地ソングって流行らないのかなぁ?「ヒルズ音頭」とかあったっていいじゃん。

赤坂ヒルズを見ながら意味のない事を考えていると、そろそろ六本木に近づいた。
六本木1丁目駅が見えると、後輩の一人はここから家まで地下鉄で帰ると言う。
疲れたようで、ここから家まで15分も歩くのが嫌らしい。さすが港区民。


最寄り駅から隣の駅まで軽く5キロ近くある地方民の自分には驚愕だった。
そういえばからもう一人の後輩は水道橋から御徒町の家までタクシーで帰るって行ってたっけ?
結局、後輩とはそこで別れて明らかにひょろい自分と体育会系の後輩との2人での散歩が再び始まった。


東京ではよくありがちな坂道をあがり、すぐに東京タワーが姿を現した。
ライトアップされたタワーは東京の街を歩いているのだと言う事を改めて認識させてくれる。
そして、気づけばうっすらと夜も明け始めている。
空を見たがこのあたりからは星が1つしか見えなかった。
あたり飛んでいたヘリコプターの灯の方が星より強く、星のように光っている。


この時間でもやたらと外人の多い六本木の街に入ると六本木ヒルズが見えた。
夜明けが迫る午前5時とあっても、ヒルズの上層階は明かりが爛々と輝いている。
ヒルズの中ではこの時間まで仕事をしているんだなぁ、なんて考えると、この国の経済の
1つの舞台がリアルタイムにそこにあることが感じられて少し感動した。
きっとヒルズの上の方で迎える夜明けは別格なのかもしれない。
それが終わらない仕事の最中であっても、その場所でその時間まで働いているというシチュエーションに酔えそうな気がした。
もちろん自分にはほとんど関連のない世界の事ではあるが…。


六本木を過ぎると道に迷ってしまった。
東京はただでさえ目印になるような地名や通りが多すぎて方向が狂うと大変だ。
南麻布や広尾の大使館が沢山あるあたりを歩いてみるが、どこへ向かっているのかはわからない。
とりあえず東南の方向に向かっているはずなのだが…、。

ここは何区だろう?どこに向かってるんだ?フランス大使館の横を歩きながら考える。
早朝だというのに路上で警備の人もいるが、聞くのもどうかと思うしとりあえず進むしかない。

遠くに高いビルが見えるのでそっちの方に行く事にした。たぶん品川だろう…。
首都高の下をくぐりちょっとした住宅街に入ると住所表記は白金だった。

4年間通ってたとはいえ東京の地理にそれほど詳しいわけじゃないのでコンビニの地図で確認するもよくわからない。
とりあえずひたすら前に進むしかない。時間的にはもう六時を越えていた。


袋小路に入り込んだり、謎の豪邸を横目に見ながら気づくと幹線道路が近づいて来た。
坂の多い東京で歩いている場所も台地の上にあるので遠くまで見渡せた。
道路にある地図で確認すると目黒駅が近いらしい。


迷ってたとはいえ品川じゃなくて目黒か、。
かなり品川までは距離あるよなぁ。

…ということで、後輩にはここで許してもらった。
彼は本気で横浜まで歩きたかったらしく、少し文句を言っていた。
今日の歩行距離は15キロくらい。
あの激しい飲み会の後だと思えばわりと頑張った方だと思う。


いつの間にか新しくなってた目黒駅から通勤客に混じって山手線内回りに乗車する。
後輩は立ったまま寝ていた、さすが体育会系。
すぐに電車は品川駅に着き京急を使う後輩とそこで別れ自分は下りの東海道線を待つ。
時刻は午前8時に近くなっていた。

そして、しばらくの時間の後ちょうど東海道線からなくなる予定の113系が来たのでそれに乗車した。
下りだからこの時間でもほとんど通勤客が乗っていないので余裕で座れた。


走り去る車窓から消えていく品川のビル郡と、それに反射して輝く太陽光。
そびえ立つ巨大ビル郡はまさに東京の象徴だ。

のぼって来た太陽は、夜を押しのけて時間はさらに進んでいく。
大森から蒲田へ、東海道線が抜き去っていく駅々には東京に向かう大量の通勤客が見える。
上り列車は大量の乗客を抱え、夜を越え家に帰る自分がそれを眺めているのはなかなかシュールに思えた。


これから自分は神奈川の家に向かう。
卒業する自分はもう水道橋には頻繁に行く事は無いだろう。

しかし、東京の街はイメージの中だけではなく現実につながっていた。
車窓から走り去る市街地は自分の家まで続いているし、
明日も明後日も東京に向かう通勤客はそこに在り続ける日常だ。
一晩中歩き続けた自分には、目の前にあるそれが現実なのだという事がより明瞭に理解できた。

太陽はすでに高く上がり、その日が快晴である事を予感させる。
もちろん家に着けば、ただひたすら眠るだけだという事も。
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by mukuinu22 | 2006-03-17 10:49 | 日記
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